女優・野際陽子さん(81)が亡くなった。死因は肺腺癌。
肺癌の一種とのことで、
「野際陽子さんてもしかしてタバコ吸ってたの?」
と、その喫煙歴が気になっている。
野際陽子さんがタバコを吸ってたとすれば、そういう話も最近は聞かない。
だから過去のことだろうし、確かに以前はタバコ吸ってた、と語る人もいるようだ。
ただ、肺癌の中でも肺腺癌というのは、喫煙歴の有無にかかわらずかかるものらしい。
また、この病気を知るにつけ、今の私たちの年代、そして私たちの様な女性にもかなり関係してきている。
喫煙歴に関係なく女性がかかりやすい肺癌のひとつ、それが肺腺癌というものなのだろうけれど、病気の内容、野際陽子さんのエピソードと合わせて語ってみたい。
鼻チューブを収録の合間にしてモルヒネを打ちながら撮影!野際陽子は癌にかかりやすい性格?
野際陽子さんが過去にはヘビースモーカー言われるほどの愛煙家で、確かにタバコ吸ってた、という喫煙歴を主張する方もネット上では見られる。
ただ、確定的な情報ではないだろうし、野際陽子さんに喫煙歴は無かったという声もあったりしているので、なんとも言えない、というのが実情になる。
ただ、肺腺癌という肺癌の一種にかかって亡くなったので、結局過去にタバコ吸ってたかどうかという話へと進んでいったのではないだろうか、というのが今言えることとなる。
野際陽子さんの生前、とりわけ臨終間際や最近のことについてメディアで取り上げられているけれど、一番すごいと思ったのは最近まで出演していた「やすらぎの郷」というテレ朝ドラマのエピソードだろう。
何しろ収録の合間の休憩時には、肺腺癌が進んでいたために息苦しくなり、鼻にチューブを入れて呼吸を整えていた、といわれている。
また、末期がんとなっていたため、絶え間ない痛みを押しての撮影努力だった。
このため痛み止めのモルヒネを投与しながらの撮影だったとも伝えられている。
それこそ喫煙歴とか、彼女は過去にタバコ吸ってたヘビースモーカーなどという情報とはある意味正反対の生き様を伝えてくれている野際陽子さんだと言えるかも知れない。
しかしながら、よく取り上げられることとして癌にかかりやすい人の性格、というのを知る限り、あるいは野際さんはそのタイプではなかっただろうか、とも思えるのだ。
その性格とは
・努力家、頑張り屋で、しかもそれを表に出さない
・もの凄くマジメなタイプで、心身にムリをしても平気で通そうとする
・頑固一徹
といったものだ。
野際陽子さんの場合、元々立教大学文学部英米文学科を卒業してNHKアナウンサーから女優に転向してきただけあって才色兼備、見事な美貌と才能で女優を続けてきた。
その陰には大変な努力や苦労もあったに違いないけれど、それを表に出さない、言い方に問題があるかも知れないけれど“ボロが見えない”人が彼女な気がする。
でもやっぱりこういうタイプの人というのは、そういう苦労を自分の心とカラダの奥の方に押し込めてしまうタイプの人では無いだろうか?
そしてそれが蓄積して、限界点になったときに癌のような病気となって現れてしまう、そう思えるのだがいかがだろうか?
肺腺癌の意外な特徴!女性の罹患率が高く、タバコ吸ってた過去も関連?
喫煙歴やタバコを吸ってたかどうか、その過去の有無については、彼女の死因となった肺腺癌という病気にシフトして考えてみたいのだが、この肺腺癌というのは肺癌の中でも最も割合の高い種類となっている。
そして、意外なことだが、普通肺癌というとそういう喫煙歴とかタバコを吸ってた過去があるかどうかが密接に関係してくる、といわれているはずなのに、肺腺癌はむしろタバコを吸わない人もかかりやすいといわれている癌だ。
そしてなお恐ろしいことに、全ての癌の中で肺癌の罹患率は男性が6割、女性が2割となっているが、実のところ肺腺癌については女性の方が男性よりも罹患率が高いことが言われている。
要するに、タバコを吸わない女性でもかかる肺癌が肺腺癌ということになる。
ただ、それでも肺腺癌はタバコを吸ってた場合の方が罹患率は2倍になる。程度の差はあるけれど、確かに喫煙歴がこの病気に影響するのは確かなようだ。
だから野際陽子さんには喫煙歴の噂が持ち上がるわけになるが、この病気についてはまだ恐ろしい情報がある。
まとめて見れば、
・転移が多い。
・進行が速い。
・初期症状がない。
などと言う特徴がある。
野際陽子さんにこの肺腺癌が見つかったのは14年のことだった。初期の癌だったから手術して患部を切除したまでは良いが、15年に再発している。
再度の手術を受けたが、結局は末期までステージが進むこととなってしまったようだ。
タバコ吸ってた過去(喫煙歴)を持つ人は、将来的に肺癌や肺腺癌に?
そしてこの野際陽子さんの肺腺癌も含めて肺癌の罹患の実態を知るとさらに心配なことが浮上する。
一つには、今の時点で誰それがタバコ吸ってたから、と言ってすぐに肺癌とかになる、と言うわけでも無さそうなのだ。
要するに時間差があるということ。
たとえば20代、30代に喫煙歴があって
「私、若い頃はこれでもよくタバコ吸ってたの」
みたいな人がいた場合、60代以降になると肺癌にかかるリスクが増大するという。
実際、肺癌にかかる人の数が60代以降に増加していることが知られている。
そして合わせて、今現在、日本では少なくとも喫煙率はそれに反比例するかのように激減しているという実情がある。
要するにそういう過去、タバコ吸ってた人が後になって病気になってしまう、そういう現象になっているようだ。
ある意味私たちの様な30代、あるいは20代の女性に対する警鐘ではないだろうか。
一方、野際陽子さんに喫煙歴の有無が取りざたされるのも、こういうところにあるようだ。
早期発見の方法は胸部CT?けれども問題も
だから肺癌もそうだけれど、肺腺癌は決して早期だからと言って安心できない。
実際、野際陽子さんも最初に早期の手術で完治したかと思ったら、明くる15年には再発しているのだ。
しかも肺癌自体、単にレントゲン検診くらいでははっきりと病巣をとらえることも難しいと言われている。
最近、歌舞伎役者の中村獅童さん(44)にも人間ドックを受けた際に初期の肺腺癌が発見され、ひとまず手術で事なきを得たように言われているが、早期発見のためには結局彼のように人間ドックなどで胸部のCTスキャンを取るのが最善の策と言うようだ。
ただこれにも被曝量に問題がある。
CTスキャンというのはよく言われることだけれど、普通のレントゲンよりも膨大な放射線の被曝量になる、という情報もあったりするためだ。
それほどの心配もない、という声もあるし、素人の判断では難しい。
ただ、中村さんの場合でも普通のレントゲン検診だけでは癌が発見されなかった可能性もあるし、あくまでも医療の専門の方にこのあたりの情報を伺っていただきたいから、本当に同じ病気を心配される人は、病院やクリニックで確かな情報を尋ねた方が良い。
そのようなわけで。
個人的にだけれど、野際さんは自身のかかった病気について大切なメッセージを残しているように思える。
最後になるけれど、ご冥福を心からお祈りしたい。
(増淵夕子)