いつとはなしに、脇の下にしこりが出来ているのに気がついた。
それが最近、痛みを伴うようになってきて、ジクジクしたりすることがある。
エッまさかあの病気?
と、青ざめて、そして自分なりに“覚悟”して先日病院を訪れたことがあった。
胸でなく、脇の下にしこりが見つかることも多いと言うし、あの母であり有名女性タレントも脇のリンパに転移があったりして、結局乳房を全摘出している。
そんなことを思い出すごとに痛みが悲しみとともに脳天まで突き刺してくる思いだった。
そんなふうにして、涙をこらえて病院を訪れたてんまつを語ってみたい。
胸や脇の下のしこりが見つかっても悲観せずまず病院へ
まず先に病院で検査した結果を語りたいのだが、私の脇の下のしこり、乳癌ではなかった。
乳腺症という病気で、乳癌とよく間違えやすいらしい。
でも左の胸の脇が何かジクジクと痛みを感じて、触ってみたところしこりを見つけてしまった時のショックは言葉では言い表せない。
胸や脇の下にしこりがあることを発見すると、すぐに乳癌を連想する女性は多いだろう。
ただ、乳癌のしこりで痛みが生じるのはまれだということは知っていた。
だから実のところ痛みがあるのが病院に行く前は唯一、安心材料となり、恐怖に震える中で、病院に行く前は乳癌じゃない、と自分にそう言い聞かせていた。
こういうときは、万が一を想定するしかないのだが、それでも確実な情報を得るために必ず病院に行くべきだ。
たとえ相当にきつい結果が待っていたとしても、自分一人で考えたり落ち込み続けていたらどうなるか、それこそ自分でもわからない。
そんなわけで、結局乳癌ではなかったのだが、痛い場合もあることはあるというので本当にこわい。
ただ、私が乳癌と勘違いした乳腺症という病気とはどんな病気だったのか、そして考えたくないけれど、やっぱりこういうふうに考えを巡らしてくるものだ。
本当に乳癌になった場合、この先私はどうなるのだろうか?
乳腺症って、まさか乳癌に移行するなんてことはないのだろうか?
病院側は私の本当の「病気」を知っていて、それを秘匿して正しく告知をしていないんじゃないだろうか?
などなど。
なので今でもしこりを見つけた時のことを思い出すと何ともやりきれない。
今後本当に乳癌にかかるのか、そんな可能性も大きくなってきているんじゃないだろうか、そういう不安と急性のうつ、いやうつ以上に不安が覆い被さってくる。
とにかく乳癌を疑って、それが頭にこびりついてしまい、涙は出るわ、震えるわ、一体私がどんな悪いことをしたというのか!等と恨み節の入った妄想まで浮かんでしまった。
だが現実に自分でしこりを発見したわけで、何事もないということは絶対ないと覚悟し、最寄りの総合病院に翌日来院。
そして診断の結果で知った乳腺症、という病気について語ってみたい。
私が乳癌と間違えた乳腺症というのはどんな病気か
触診やエコー、マンモグラフィーなど、様々に検査をしてみたところ、乳腺症だと診断。
「何ですか乳腺症て?」
正直始聞いたことのある病名だったが、名前だけでどんな病気か知らなかった。
お恥ずかしいが、この歳になるまで胸にしこりと言えば乳癌しか頭になく、病院で医師から病名を聞いた時には意外な感じが強すぎて、頭の中が真っ白になった。
冗談ではなく、この時は脇の下の痛みは忘れていたくらい、心配がつのっていた。
診察の結果を聞く時には体が震えていたほどだ。
たぶん他の女性も同じ体験をしているに違いない。
その後医師からこの病気の詳しい説明を聞いて、前日から絶望感で心が折れていた私はやっとホッとできた。
乳腺症というのは、要するに乳腺の老化現象から引き起こされる症状で、乳癌のように悪性のものではなく、良性の病気だということだ。
そして、病気と言うほどの重大事でもないので、ハッキリ言えば
“ほっといても治る”
ものらしい。
(ちなみに授乳期の女性がかかる同じような症状に「乳腺炎」というのがあり、これはまた別)
もちろん痛みが激しすぎたりすれば対症療法として投薬もあるようだ。
私もそのとき、気休め程度の鎮痛剤をもらったきりだった。
私のような30代から50代、つまり閉経前の女性に見られる症状だという。
症状は私のように胸の脇や脇の下に痛みが出てきて、緊張感というか、引っ張られる感じがある。
そして私と同じくしこりを発見することも多い。
そして生理前に痛みが始まって、生理が終わると同時に痛みもひく、というのが特徴だ。
乳癌ではないにしろ、しこりのジクジクする痛みはひどく気になっていた。
乳腺症の痛みや症状を和らげる方法を医師から聞いたりしてやっとホッとした。
そして今度は医師と話すうちにうれし涙が出てしまった。
乳腺症は乳癌に移行しやすい?
そんなわけで、乳腺症であったのは幸いだったが、それでもまだ消えなかった疑いがあった。
それは、
乳腺症から乳癌に進行するケースは多いのか?
と言うことだ。
年齢的に脇の下などに乳腺症でしこりや痛みが出てくるのはしょうがない。
ただ、もしも脇の下やしこりに痛みが無く、要するにしこりだけの乳腺症の場合、気づく、気づかないにかかわらずこれを放っておいて病院で治療しなかったらどうなるだろうか?
おそらく多くの乳腺症を経験した女性も同じことを想像するだろう。
この回答、病院で診察して乳腺症だとわかった後、医師に聞いてみたのだが、医師の話だと
基本的に乳腺症と乳癌とは関連性がない
ということだ。
これを聞いて本当にホッとした。
私も後でおそるおそる調べてみたのだが、乳癌へ移行するという乳腺炎はまれらしい。
医師が語ったとおり、全く関連性がないともいわれているようだ。
ただ、乳腺炎になるとこのしこりや痛いのがどうしても気になるので、その原因を見てみたら、日々の習慣とか食生活にあるらしい。
そういうしこりや痛みを改善する方法を、次に語ってみよう。
乳腺症の予防や症状緩和にはどんな方法があるの?
乳腺症は結局、日々の生活習慣とか食生活が原因で引き起こされる病気だという。
だから、これらをあらためなくてはならない。
具体的には、
・規則正しい健康的な生活をすること
・適度な睡眠をとる
・ストレスを過度に溜めない
・適度な運動を心がける
などなどだ。
そしてさらに、
・糖分や脂肪分、アルコールやカフェインを取り過ぎない
・大豆食品や海草類を食べるようにする
ということもあげられる。
これとともにあくまでも私の個人的な意見だが、喫煙習慣のある人は控えた方がよいということを言い添えておきたい。
こうした生活習慣を改善する方策は、乳癌を予防する場合とけっこうよく似ているものもあったりするようだし、実のところ乳癌で脇のリンパに転移が見つかり、右胸部を全摘出したタレントの北斗唱さんもヘビースモーカーとして知られていた。
全部が全部喫煙と関連すると言うことはないとは思うけれど、転ばぬ先の何とやら、ということで友人女性の中には北斗晶さんのことを知った後、控えめにしている人も出てきている。
彼女もけっこう身につまされているようで、そんな女性を身近に見たことからあえて禁煙や節煙を呼ぼうとして取り上げてみた。
とにかく私の場合、悲観に震えながらも覚悟して病院に行ってみたことで晴れ晴れとした気分になれたとも言えるだろう。
ぐずぐずしていたら精神的にもまいっていただろうし、万一のことを考えればやっぱり一番頼りにできるのは医療機関しかない。
とにかくは、異常を感じたら取り越し苦労でもかまわないから、医師に相談すべきだ。
それにしても病院に行ったあの日、私を診察してくれたのが可愛い女医さんでよかった 笑。
(増淵夕子)