乳がんは今や30代でもかかる病気になってきている。
しかも他のがんと同じく、初期症状には痛みも伴わないとよく言われている。
ただその一方、乳がんは痛みこそないが、初期症状としてしこりを自分で見つけることが出来る、というメリットを聞くことが多かったはずだ。
でも、果たして乳がんの全部が全部、初期症状に痛みがない、しこりを見つけると簡単にとらえてよいのだろうか?
実はどうやらそれで済まされないような話がある。
乳がんは初期症状に痛みを伴う場合もある?ちょっとでも違和感を感じたら病院へ
結論から言ってしまうと、乳がんの初期症状でも痛みを伴う場合があったりする。
乳がんの初期症状とよく間違われる症状に乳腺症というのがある。
乳腺症は同じようにしこりが出来ることでも有名だ。
だが乳腺症は病気と言うほど深刻なものではない。
ホルモンバランスの崩れが乳腺に影響して引き起こす一連の変化で、特にきつい痛みでもない限り薬を飲んだりする必要も無いと言われているものだ。
ただ、そういうわけで痛みがあったら少なくとも乳がんの初期症状ではない、またしこりの形状など自分で確認しても違いが分かる。
そして基本的に両者は関係が無いと言われているはずだった。
ところが、乳腺症のような痛みを覚えて心配になり、念のために病院に行って調べてもらったところ乳がんの初期症状が見つかった、というようなケースがあるようだ。
その他にもしこりこそ自分で確認しても見つからないが、
・胸が何だか熱っぽい、
・胸部の皮膚が橙色に変色している、
・乳頭から変な分泌物が出る、
などの自覚があったら大事を取るべきだ。
私も自覚症状こそ無いけれど、例えば乳腺症と疑うような自覚症状があったとしても、すぐに病院に行くこと、と普段から決めている。
それが病院で検査を受けて本当に乳腺症だと分かった、取り越し苦労だった、となってもそれで十分ではないだろうか?
検査でも初期症状が分からない乳がんすらある?
なにしろひとくちに乳がんと言っても様々な種類がある。
詳しいことは専門家や医師に尋ねていただきたいけれど、例えば元女子プロレスラーの北斗晶さんなど、自分で胸にしこりを発見したのは、秋の乳がん検診を済ませて異常が無いと通知された矢先、年明けの1月頃だった。
その結果、いきさつはあったけれどステージ2だと判明し、手術で右胸部を全摘出している。
こうして検査をスルーしてしまう、非常に危険な場合もあったりする。
また、乳がんの初期症状にはしこりがない場合すらあるという。
レアかも知れないが、こうしたケースをまとめてみると、自己判断はもちろんだが検診でもある意味発見が“お手上げ”。
そういうしかない乳がんの初期症状も無いとは言い切れない。
ただ、そういうリスクを最小にするためにはやはりきちんと検査には行くべきだ。
今、声を高くして言うべきことはこれしかないだろう。
乳がんの初期症状に対する考え方−過信は禁物に
今や乳がんは女性がかかるがんの中で最も多く、かつまた女性のかかる割合は16人の内1人という数字になっている。
確かに初期症状として、乳がんは普通、痛みが伴わないというべきかも知れない。
だが一方、こうした統計を考えれば、これだけ患者の“母集団”が大きいわけだから、レアな場合に当てはまることだって無いとは言えないのではないだろうか?
例えば、痛みを伴う初期症状になっていた、という不運なケースに当てはまっていたということだって十分あったりする。
とにもかくにも
「痛みもある、典型的な乳がん特有の症状ではない」
「自分は大丈夫、身内だってがん系統ではないし自分に限って」
という考え方はあらためていくしかないだろう。
なお、よくがん系統かどうか、ということが世間で言われたりしている。
これについて個人的なことをお伝えしておきたいのだが、私の母方の実家は、がん患者がなく、だからがん系統ではないと言われていた。
しかしながらもう十数年前になるけれど、私の母型の祖父ががんにかかって死んでいる。
こういう身近なことから家系ががん系統かそうでないか、というのは個人的に当てにならないと信じている。
心配や怖れに目をつぶらず、しっかりと正しい判断を
ただ、そういう風にかなりの危機意識を常に持っていなければならない分、多くの女性には非常に心の負担にもなる。
「いつか私もかかってしまうんだろうか」
「これから先、ずっといつも恐怖に隣り合わせて生きていくことになるのだろうか」というように。
それにあえて目をつぶりたいために、中にはどうしても体に違和感があっても病院へ行って検査することをついためらってしまう。
そういう女性もすごく多いはずだ。
でもそれがまかり間違うと本当に命を左右することにもなりかねない。
これも紛れもない事実だ。
初期症状ほど何となく違和感があるが他は健康そのもの、という場合が多い。
だからよけいに自分でそういう心配や恐怖にフタをしようとなることもあるだろう。
そして「痛みがあるから大丈夫」という気持ち。
同じ女性としてそう思いたいのは本当に同情できる。
けれど、しごく僭越ながらそういう方たちにはぜひ勇気を持たれるよう、私の方から背中を押させていただきたい。
増淵夕子