別れてしまった元彼が忘れられない、というケースは私たちの年代になってもままあるようだ。
私もそんな経験があったのだが、30代となった今では新しい彼氏も出来ている。
でも、時には20代のころ別れた彼氏を引きずって、時折思い出すことはある。
いまだに元彼の幻影がちらつく、忘れられない。
そういう風に意識する時は確かにあるのだ。
じつのところ、同じような経験の友人も多い。
中には、
「はっきり言って私、本当は今彼よりも元彼の方が好きじゃないのだろうか?」
と、自分の本心がわからなくなり疑心暗鬼になってしまう友人もいる。
せっかく新しい彼氏ができて、結婚まで考えていて、横から見ると贅沢の極み。
そういう彼女を見ると恋愛が下手、とも思えるが、本人はいたって深刻だ。
思い出は美化される、隣の柿は美味しく見える
元彼と別れた経験があると言うことで、私もそんな気持ちはわからないわけでない。
私も結婚を考えてまでいたこともあったから、そう易々と忘れられないし、もしかして今後新しい彼氏が出来たとしても同じ気持ちになるかも知れない。
ただ、客観的に見れば私の場合。元彼と別れて正解だった。
これは今でも変わらない。
理由は彼の浮気だ。
いまだ考えてみると疑問も残るが、功労経た経験者の女史に言わせてみると、
“浮気は一生治らない”。
よく言われることだし、私も実体験として元彼に完全にウソをつかれていたことがある。
そんな男性を好きになってしまった私にも非があるが、忘れられないという気持ちもまた同情できる。
よくあることとして、別れた後、彼を現実以上に素晴らしい男性と思い込んでしまうのだ。
新しい彼氏、つまり今彼が出来ても付き合うのは今現在、進行中の現実のこと。
そこには何のイメージを膨らますようなこともない。
だが、元彼を思い出としてイメージする時、どうしても心の中で理想化されたり美化されたりするものだ。
その結果として、今彼よりも元彼の方がもっと理想的だった、という気持ちになってしまう。
思い出というのは一面罪なところがある。
こういう風に、よい思い出ばかりが記憶にクローズアップされてしまうからだ。
逆に、不快な思い出は思い出されなくなる。
奥に隠されがちだ。
だからよく言う、
“よい思い出しか残らない”
のだ。
時が経つにつれ、元彼でもよいところしか思い浮かばないようになる。
これはこれで自然な行為だし、確かにそこまではよい。
だがそれを「元彼が忘れられない」という恋愛の気持ちの再燃のようにとらえてしまいがちだ。
私も経験しているし、多くの方々も同じではないだろうか。
そんな時、もっと大人にならなきゃいけないな、と考える様にしている。
年齢的には実際もう大人すぎるのだが。笑
新しい彼氏に対してわだかまりがあって心を開けない
そういう悩みを持つ友人彼女、私の場合と比べると、すでに私の倍の月日の間、新しい彼氏と付き合っている。
だのにいまだ新しい彼氏をきっぱり好きになりきれない。
そういうところがあるという。
「昔の彼の事が時々蒸し返されるんだよね。今彼と付き合っている時、彼の仕草を見ていると、あ、これ元彼もやっていたよね、とか心の中で思っちゃうし」
「そんなふうに気持ちの整理がついていなかったりするんで、ホントに罪悪感。
もちろん今彼は元彼よりも良いところがたくさんあると思うんだけど、良い、悪いで割り切れないところだってあるし」
「もう結婚の話まで出てきているし、私も20代じゃないからなんだかしぶしぶって感じで結婚になるかも知れない。
そうしたらもしかして、誠実さに欠けるような気がしちゃって。
これってよけい不幸かな?」
延々とこういう内容をくり返すマネジメント職の彼女。
新しい彼氏は彼女よりも年下で、残念なことに年収も彼女の方が上だ。
この頃はよくある話っぽい。
だが自分の罪悪感にさいなまれる裏返しというか、そうした現実的にどうしようもない今彼の“欠点”をむやみにあげつらう。
そんな彼女の気持ちがあるようにも聞こえて来る。
それを自分自身でも気にしているようで、その結果心のわだかまりが膨張して、彼女はうつっぽく考えてしまうようだ。
新しい彼氏との思い出をたくさんつくること、過去は思い出されて当たり前
だが私にもそうした事があるし、記憶というものはなくしたいと思ってもなくせるようなものではない。
繰り返すけれど、誰でも元彼がいた人には起こることだ。
思い出だけに美化されるし、そうなると元彼の良さとオーバーラップも起こる。
他方、今付き合っている新しい彼氏、それは現実以外の何物でもないから理想化も何もない。
要するに、彼女の内面にとって元彼と今の彼とでは、今の彼の方が不利なのだ。
だが、そんな場合でも新しい彼氏とデートや旅行を増やし、気持ちを交わす場面を多く持てばだんだんと今の彼氏の“環境”に慣れてくると思う。
だから、一番の方法は、今の新しい彼氏を大切にすること。
多少のわだかまりがあっても積極的にこちらからデートや旅行に誘い、新しい彼氏との思い出をたくさん作り、経験すること。
そういう努力が大切になるのではないだろうか。
元彼が忘れられないという気持ち自体、そんな思い出作りが中途半端になっている証拠だともいえるだろう。
だから徹底的に今の彼氏と付き合ってみればよい。
その中で見えてくる物も多いはずだ。
元彼がいたら当然思い出も記憶も残る。
誰でも同じ経験をしているのだ、と彼女が割り切って新しい生活を自身の手で開くことを願いたい。
(一ノ瀬絵美)