海老蔵さんも麻央さんと結婚してから、ずいぶんおとなしめになったことはよく知られている。
二人の馴れ初めが一目惚れによるものだったというのはよくイメージされることだが、その麻央さんも今はよく知られているとおり末期がんで大変な生活を強いられている。
だがその麻央さんにたいして、海老蔵さんの方はかつての女性遍歴で見せていたようなポイ捨てのようなそぶりは片鱗も見せず、一貫して優しく寄り添うような様子だけしか見えない。
一目惚れというのはこんな力があるものなのだろうか?
出会いというものの大切さを垣間見るけれど、いったい二人をそこまで強く結びつけるのは何なのだろうか?
役者特有の勘の強さが一目惚れの発端に?
海老蔵こと市川海老蔵さんは、今や片岡愛之助さんと並んで今や押しも押されぬ人気歌舞伎役者の双璧だ。
だが愛之助さんと同じく、海老蔵さんも麻央さんに出会うまでは、女性遍歴で普通の芸能人をしのぐほどのスキャンダラスな過去を背負っている。
それだけではなく、海老蔵さんの記事を追ってみるとその真偽はともかく、ADに対する態度や同業の芸能人たちによる評判、そして酒癖など、かなりのマイナスイメージをもたらすような内容もよくある。
だが一方で、そういう私生活の部分を乗り越えて歌舞伎の舞台では存分にその才能を開花させ、亡き父、市川團十郎さんの後を立派に継いでいると言えるだろう。
もちろんそういう彼の名声を支えるものの一つは飽くなき役者としての精進のすさまじさがあるのかも知れないが、同時にそこで培われている役者としての直感力。
それが彼の女性を見るメガネとなっていることは間違いないし、麻央さんがこれにかなう女性だったと言うことは想像するまでもないことだ。
確かにこれまで海老蔵さんは、自分でも数がわからないと語るほどに多くの女性と交際し、また別れてきたと言われているが、言ってみればそういう彼の思惑にうまくはまりきることがなかったからこそそういう悲しい結末になってしまったとも言える。
彼自身も、そういう女性たちに対してはやはり申し訳なく感じているところもあるようで、事実隠し子騒動が発覚して記者会見を開いたとき、はっきりと彼は
“できた子供は自分が責任を持つ”
と語っている。
お茶を濁さないそういう男性であること。
自分の責任には正直に向き合う人であること。
嫁の麻央さんもそういう彼の素直さ、逃げない態度に惚れ込んだのではないだろうか。
普通の嫁だったらアノ出来事だけで離婚もの?
もちろんただ単に一目惚れだけではなく、麻央さんの方もしっかりと海老蔵さんを支える勇気のある女性だったといえる。
海老蔵さんは2010年1月29日、麻央さんと結婚したが、その10ヶ月後の11月25日麻布で暴力沙汰に巻き込まれ、けがを負っている。
この事件、かつての海老蔵さんの酒癖の悪さが蒸し返したのか、ということで注目を浴びたが、このときも麻央さんは動かなかった。
ただ、かつての海老蔵さんとは異なり、このときの暴力沙汰は実のところ、暴力を受けている飲み仲間を相手のグループからかばって介抱する彼が一方的にやられてしまっている。
痛い目に遭いながらも仲間をかばっていた、その彼のことを麻央さんは一番よく知っていたのだろう。
結婚前から酒癖の悪いという情報は彼女も聞いていたにちがいないが、けがをした理由はどうあれ、並の女性だったら路上で酒の勢いで暴力沙汰に巻き込まれた愛人だらけの旦那。
どう考えても離婚の二文字がちらついてしまうのではないだろうか?
だが麻央さんはそうせず、それどころか冷静に警察に通報している。
個人的にはこれも彼女の機転のすばらしさと言えるのではないだろうか。
中には、世評を気遣うなら警察沙汰にせずもっと内密に事態を処理すべきだったのでは?という声もあるが、一方で海老蔵さんは女性でも酒の席でもそれまでにもいろいろな噂を起こしていて、ただでさえメディアによるマイナスイメージが増えている。
だからむしろこういう出来事をなるべく表沙汰にして裏表が感じられないようにした、という思惑があったのかも知れない。
実際、警察に操作をゆだねたことによって、メディアによるバッシングはブレーキがかかっていると思いたい。
麻央もやっぱり一目惚れ?夫婦になってからまた惚れ直しか
TBSのアナウンサーだった麻央さんは、報道番「NEWS ZERO」のキャスターとして2009年、海老蔵さんをスタジオに招いてトークを繰り広げていた。
これがおそらく海老蔵さんによる麻央さんへの一目惚れだったにちがいない。
そして麻央さんの方は、はたして一目惚れだったのかはちょっとわからない。
女というのは一目惚れで一気に好きになることもあるが、海老蔵さんにはそういう「過去」もある人だし、何より父の団十郎さんの代から受け継いだ膨大な借金問題も抱えている。
かつて彼とつきあっていて、結婚まで秒読み寸前とまで言われていた女性に米倉涼子さんがいたが、米倉さんの方ではその借金問題を重く見て破談になってしまった、とまで言われているのだ。
だからその経緯を考えれば、麻央さん自身そういう彼を承知の上で結婚に踏み切った、ということになる。
やっぱりすごい女性。
そう言って良いのではないだろうか。
そして彼女が乳がんにかかり、その末期ステージで今苦しんでいる中、海老蔵さんは渋谷の自宅から通院する彼女をいたわって、高額な入院費のかかるセキュリティの行き届いた病院に入院させたり、果ては自宅前に押しかけたマスコミたちに自制を呼びかけるよう肉声で伝えたりしている。
これに麻央さんが一目惚れし直さないわけはないだろう。
というか、普通の男性でも妻に対してここまでのことができるだろうか?
彼女の病気はそういうわけで、非常に予断を許さないステージになってしまっている。
それ自体は本当に不幸と言うしかないが、ある意味そういう彼女を妻に迎えたことで、彼自身が人気歌舞伎役者以前にいったいどういう男性なのか?
夫婦が仲むつまじくいる秘訣はいろいろあると思うけれど、こういう危機にさしかかったときこそ二人の真価、そして愛情が推し量られると思う。
それを考えたとき、この二人の間にある気質。
天性のものもあるだろうけれど、最高のものが感じられるにちがいない。
それを世の男性も含めて、多くの女性たちが見直しているのではないだろうか。
(喜屋武氷捺)