男友達。
彼氏未満、彼氏に数えたくない男性を普通こう呼ぶと言ってよい。
全然彼氏になりそうでない男友達にある日告白を受け、その後なぜか交際に発展した。
交際期間中、ちゃんとすべきこともやっていた。
そんな元男友達で彼氏にバージョンアップした男性とその後結婚に至った。
私の元勤め先の後輩にそんな女性がいる。
今は一児の母だ。
この記事のタイトル、実はその彼女が告白した言葉そのままだ。
聞いてみたらアラサーとはいえ私より後輩の彼女のくせに悔しいやら、でも面白いやらタメになるやらで、なかなか意味深な部分ある。
そんな彼女の実体験から、男友達がどういう経緯で旦那にまで進化できるのか、というよりどのようにして女性の方から彼を進化「させる」のか、を探ってみよう。
男友達は普通に彼氏と恋愛するよりも将来性バツグン
で、このタイトルも彼女が意気揚々と語っていたコメントそのままだ。
彼女は仕事先で知り合った男性と結婚したとのことだったが、実のところ同じ高校の同級生だったという。
「気心知れているし、性格もわかっちゃっていましたからね。
こっちがどう言えばあっちがどう返してくるのかだいたい想像ついたし、面白いのは私といるときだけ高校時代と同じ口のきき方してくるんですよ。
「だから恋愛っていう感じじゃなかったですよね。
告白されたときも『あんた馬鹿なの?』と言っちゃったし。
高校の時にクラスのみんなでわいわいがやがや騒いで遊んでいて、その延長みたいなものでした。
「だから純粋に恋愛っていう際しなかったので、何となくもの足りないって気持ちにもなったんだけど、今は全然そんな気持ちなし。
彼氏でなく、もう旦那になっちゃったからでしょうね。
「元々サッカー部だったし、結婚前、仕事で異動する前までずっとその延長で地域サークルでガンガンやっていたっていうんです。
だから夜もそれなりですよ。あははは」
冗談はさておいて。
私も思いがけず勉強することになったが、その後彼女の“実体験”を考えてみると、なまじ普通に婚活などで見知らぬ男性と出会ったりして、それを交際に発展させるよりは、こんな昔の男友達とわりない仲になる方が気心もわかっているからずっとたやすいはずだ。
そして程度にもよるが、そんな男友達から告白を受ければ、実際彼がこちらをどう考えてそんな決意を持ってくれたのか、安心して考えることもできるだろう。
重要なのはやっぱり、そんな男友達を身近に持っているかどうかにかかるはずなのだ。
男友達との恋愛は普通の婚活よりもずっと成功しやすい?
彼女がさらに続けて自分の体験を一般化して語っている。
どういうことかというと、こういう友達関係同士とか、友人の紹介で交際することとなったカップルというのは普通の婚活よりも成功率が高い、という世間の見方は正しいということだ。
友人の紹介というのがまた微妙な判定になってしまうのだが、要するに
「信頼できる人や、そういう人からの紹介だったら互いに安心できるし心も自然と開かれる」
というわけだ。
昔は友人よりもさらに権威と信頼性の高い仲人が、見知らぬ二人の出会いを作ってくれていたし、私の両親も実はそんな見合い結婚だ。
今はそれが崩れてきていて、結婚相談所などに常駐している仲人などは、当事者の人物を見るのではない。
そうした男女の履歴書とか身上書を見て決定してしまう。
今ではそんな人間そのものを見て信頼を寄せている友人にバトンタッチしているのはちょっと皮肉なものだが、それでも30代も半ばを過ぎれば普通の婚活で結婚できる確率は1%未満に落ち込んでしまう。
それを考えれば男友達や女友達、そして友人の紹介によるお相手との成婚率は具体的な数字こそないがひょっとするとケタ違いに高いだろう。
「ケタ違いって言うか、今の婚活の実態ってずいぶん変ですよね。
結局誰も身柄を保証できない男女が、そんな書類とか肩書きだけでだいたいの相手をあてがわれて結婚しようというわけだし。
「冷やかしも混じっているしサクラだっている。それにそんな互いに信頼性のない相手同士だからどうしても両方で高望みしてしまうんじゃないかな。
でも高望みしないと安心できないし安全じゃないしね」
婚活の現場に対する彼女の批判は舌鋒鋭いのだが、なんだか彼女自身もそんな「普通の婚活がスタンダード」だという感覚を引きずっているんじゃないだろうか。
今の旦那と出会うまでは(というか、再会するまでは)普通に婚活を続けていたし。
「友達同士」だからこそ末永く続く良好な関係も
その証拠ではないが、今はれっきとした彼女の旦那になっている元男友達。
その彼が、いったいどんなふうにして告白したのか?
聞いてみたら旦那の方が哀れに感じてくるようなハナシだ。
「ある日に公園で待ち合わせしたとき、彼がリボンのついた箱を私にプレゼントしようと近寄ってきたんですよ。
その日に限ってなんだかずいぶん顔つきが真剣そうだったけど、ところが彼、足元に気づかなかったんですね。私の手にそのプレゼントを渡そうとした瞬間、足元にいた猫を踏んじゃって。
「かわいそうにそのトラ猫、ギャーッって鳴き叫びましたよ。
それに彼もびっくりしてけつまずいて転んじゃいました。
よっぽど緊張していたんだと思います」
彼女の告白によれば、そのプレゼントともに彼はプロポーズしたそうだ。
中には指輪が入っていたそうで、婚約指輪だったということだろう。
「箱がちょっと泥をかぶりましたけど、それも思い出みたいなものでしょうか。箱が汚れても私も怒る気全然しなかったですしね。やっぱり基本『友達』なんでしょうね」
その後彼女は妊娠し、長女が誕生した。
男友達の告白、そしてその後こんな風なハッピーエンド。
変則的な恋愛かもしれないが、むしろ普通の恋愛よりもその後はお互い気心わかったもの同士、普通以上にうまくやっていくんじゃないだろうか。
(一ノ瀬絵美)