どんな婚活パーティーでも、ほぼ間違いなくサクラがいるという。
その募集の仕方。
裏バイトの一つなどとも言われ、もちろん公の求人情報などには正しく載っていない。
求人のタイトルを別な名前に変えて募集したりしている。
ひどい習慣だと思うけれど、しかし業界の実情を考えると、サクラの女性(男性もあるらしい)アルバイトは必須、マストだとも言う。
婚活をがんばる方々は、それを乗り越えていかなくてはならないわけで、ある意味本当に“地獄”ではないだろうか?
その実態と一緒に、思っていることをお伝えしてみた。
婚活パーティーのサクラ募集は、大部分ミニコミ情報で「コンパニオン募集」
第一に、婚活パーティーは運営にも困難がつきまとう。
参加する人たちだけでは男女の比率が不均衡になったり、華やかなイメージが劣っていたりと、宣伝効果の点で問題が生じたりしてしまう。
だから運営側はサクラを募集して、表向き合法的な従業員(日雇いバイト)を婚活パーティーの一般参加者として紛れ込ませるという。
大体最初は賃金ゼロでの“無料参加”でサクラを募集し、婚活パーティーとはどんなものか興味のある女性が集まるようだ。
だが、それでも基本的にパーティー参加者“本人”となるので、出される飲食のサービスも自由に楽しめる。
要するにただ食い、ただ飲みできる、という特典がある。
そして裏のバイトだけに、人気つまり自分にアプローチしてくる男性が集まればそれなりに「収入」ももらえたりするようだ。
高いと参加一回につき数千円という場合もあるようだ。
だからそれなりに男性に人気の出そうな美形、会話上手な女性にとっては魅力的な仕事になる。
でもあくまで募集の時にはパーティーのコンパニオンや受付として募集する、という建前をとっている。
だが、そんなわけで実態はサクラとなる。
業界側はあくまでもサクラはいない、と言い続けるしかない
そんなわけで業界にしてみれば、特に参加者の人数調整の難しい婚活パーティーの場合、これらの「仕事」を募集しないでは成り立たない。
だが、もちろん真剣に婚活パーティーに参加している多くの人々にとっては、そんなとんでもないことはあってはならないこと。
あると判明した時点で、法的な問題も含めて主催側は破滅の憂き目にあう。
だからサクラなどいない、とうそぶくしかないのだ。
誰でも結局イヤになる「嘘をつく仕事」
20代の若い女性、女子大生がこうして立派なサクラになって活躍している、その裏話を聞くのは一種壮観なのだが、もちろん倫理的には大きな問題がある。
ましてや自分たちが嘘をついている相手は、真剣に将来を考えている人たちを騙している。
嘘をついている、という良心の呵責がついて回る。
そして、将来的にもしかしたら自分たちもやがてそんな婚活の現場で相手を探しているかもしれない。
そんな姿を想像してダブることになる。
それがつらい、イヤになるといって、長続きはしないようだ。
女性だけではない、男性の場合も似たり寄ったりで、両者ともよくありがちなのは本当の婚活パーティー参加者よりも一回り目立っている人たちだ。
服装や明るい笑顔、滑舌がよかったり話の運びが巧みだったり、というのが基本的な姿という。
だが最近では一般参加者も警戒している。
そうやって目立ちすぎたりすると、
「あれってもしかしたら?」
と思われてしまうのだ。
だから最近は、彼らも一般の参加者に溶け込むような地味めのキャラをつくる場合も多いらしい。
騙されていると知っていても婚活しなくてはならない、サクラを使ってでも運営しなくてはならない現状が
興味を引くのは特に男性のサクラ。
彼らが参加を割り当てられるのは、中年以上の女性向けパーティーが多いようだ。
当然彼らにしてみれば嫌われることも多いらしい。
だが、業界側ではあくまでも男女の比率を保つこと、そしてなるだけよい異性の相手をそろえて評判を多さないよう気をつけなければならない。
こうして臨時雇いの「従業員」に紛れ込ますことはマストとなる。
そしてまた、参加者にしてみればそんな嘘をつかれているのはわかっている。
それでも会員登録したり金を払ってまでしてパーティーに出席するということを続けている、続けなくてはならない。
こういう実態、やっぱり歪んでいないだろうか?
いつもそう考えてしまう。
20代にサクラの仕事をした女性は今どうしているか
私が一番知りたいのは、このタイトルの通りなのだ。
20代、女子大生やOLの時代にそうしたサクラの仕事をしたことがある女性はかなりの数になるはずだ。
ちょっと業界は異なるが、「出会い系」でサクラをしていた人たちの話では、仕事中や仕事を辞めた後でもブラックなコネまで続くこともあったり、更に危険もあるようだ。
お金のためかもしれないけれど、好奇心が勝って
「ちょっとやってみようかな」
みたいに気軽に仕事の誘いに応じてしまうのかもしれない。
けれども一つ間違えば一生を誤ることになる。
それがこういう仕事だ。
基本的に人を騙す、人の将来をかえって壊しかねない。
後味も悪いし関わってよいことはないはずなのだ。
しかもそういう風にしてウソをつくことでお金を稼ぐ味を占めてしまったり、男性を騙すことに慣れてしまうと、後で結婚できたとしても必ずどこかでツケが回ってくる。
そう思えてならない。
私もOL時代、又聞き情報で社内の女性の誰々が前にやっていたとか聞いたことがある。
でもそれ以上は聞き込んだりしなかった。
知ってみて良い世界とは思えないからだ。
もし私にそんな仕事の経験があれば後でいくらでも後悔に苦しむだろう。
もちろんこういう経験をした女性の中にはそしらぬ顔をしていたり、平気で自分の婚活をがんばる人もいないとも言えない。
けれどどうしても正しいあり方とも思えないのだ。
大手も含めて業界はサクラ無しではやっていけない、確かにその通りかもしれない。
だがそれを承知で利用して出会いを探し求める、というのはすごく悲しくないだろうか?
今の時点ではそれしか方法もない。
はっきり言って辛い。
絵空事なのかも知れないが、もっと健全に相手を探せるシステムが欲しい。
そう思っている未婚の女性、男性は多くの数に違いない。
(一ノ瀬絵美)