石原さとみさん、そして菅田将暉さんとの共演が楽しいドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』。
その石原さとみさんの衣装、今までの評価とは一転して、「ダサい!」という悲しい批判が飛び交っているらしい。
校閲ガールというからには、校閲という職業に石原さとみさんが邁進する姿が見られるし、彼女の役どころとしてはそれこそスゴイ地味だ。
というより、何で彼女、こういう役どころをしているのだかわからないくらい場違いにも思える人も多いかも知れない。
特に本職の校閲作業を担当している方々は。
もちろん彼女の演技はすばらしいし、イケメンの菅田将暉さんとのやりとりも面白いのだが、この「校閲ガール」である石原さとみさん、本職の方々の衣装を多くの方々が見ればダサいとか言っている場合じゃないかもしれない。
その実態と、ドラマとの兼ね合いをちょっと見てみよう。
石原さとみの新境地開拓?衣装やファッションに関心薄い知人の校閲者との比較
「校閲ガール」を見て、そのハデな衣装。
ふつうの人にとってはハデな印象かも知れないが、確かに従来の石原さとみさんについてのファッションに関するスタンダードなイメージを持っている方々にとっては何となくニュートラルだ。
彼女のファッションセンスを知っている人たちからは、ダサいとか、彼女らしくないなどと言う批判が少なくない。
現に一昨年の今頃彼女が主演した「ディア・シスター」の中では軒並みリアルタイムでファッションの先端を行くような彼女のイメージに多くの女性が惹かれたものだった。
それほどに彼女の“着こなし”はすばらしいと言えるかも知れない。
だが校閲ガールとして彼女が身につけた衣装。
本職の知人に同じように校閲、翻訳を手がけているオバサンがいたりするが、その彼女に申し訳無い言い方だけどそのダサい度。
なかなかまねできないようなものなのだ。
その知人の彼女に言わせると、とにかく校閲も翻訳も本当に地味な仕事。
出版される書物の一言一句をリサーチと経験、そして自分の文章能力で追求するのに精一杯。
いつの間にか自分のファッション感覚は女性の平均値から遠く離れて、なおざり状態だと語っていたりする。
加えて彼女の力説によると、石原さとみさんの役どころのような未経験、コネ無し、そして若手の職員がああも見事に有名作家の手がけた原稿を校閲担当するなどと言うのは現実からかけ離れている。
口を酸っぱくして彼女、まくし立てている。
つまり校閲者という職業を、石原さとみさんの校閲ガールと比較した場合、
あまりにも花がありすぎる!
らしい。
一般的なファッションセンスからすればどことなくオバサンっぽく飾っているような衣装を毎回着て演技している石原さとみさんは、精一杯役に没頭してなりきろうとしている姿は確かに健気だ。
考えてみれば彼女、校閲者とか翻訳者という、実務の中で最も地味な部類に入るような職業に光を当てたのはすばらしい目の置き所、というべきかも知れない。
「でも単に校閲よりも、翻訳の方がちょっと“花”なんだけどね」
と知人の彼女。
校閲ガールみたいな棚ぼた成功は実際ありうる?ますます狭き門になってくる業界!
でも、石原さとみさんにしてみれば昨年はあり得ないと誰もが思っていた実写映画「進撃の巨人」で中性的なキャラクター、「ハンジ」を見事にこなしていた。
今回の校閲ガールとともに様々に新境地にチャレンジしている姿が見られる。
変にヨイショするのではなく、確かに彼女はすごいのだ。
その視聴率や評判は様々だが、結果は同あれ彼女のアグレッシブさが浮き彫りに出ている役どころではないだろうか。
本来の校閲の仕事とは
ここで石原さとみさんをきっかけにしてしまうが、その本職の校閲者の仕事の内容はどんなものだろうか、ちょっと知人にかいつまんで説明してもらった。
「とにかく地味、地味。一本の文章について前後関係や微妙なニュアンス、そして読者がその文章をどうとらえていくのか、とらえ方まで推測して行かなきゃならないから、結局自分自身がそういう読み方をしたような経験をより多く持つことがまず必要だよね。
ていうか、一番必要なエレメント。
「当然だけど、自分自身文章能力がそういう職業向けに洗練されている必要だってあるし、それでいて、誤字脱字が出たりしたらもうアウト。能力無しくらいに思われてしまうと言っていいんじゃないかしら。
「それに今はどこでも出版界は不況で、そういう本職の校正者とか翻訳者を本格的に雇い入れるというのは相当収益性の高い大手出版社に限られてきているしね。
「特に翻訳なんかだと、最近は結構帰国子女とか海外出張も頻繁になってきているし、車内で英語の学習なんかも後押しするシステムが横行しているから、本職ほどじゃないけれど、即席みたいにして自社内の職員が翻訳や校閲を手がけたりするわよね。
結局コスト的にみんなそっちの方選んじゃってる」
だがそれでも本職の校閲者とか翻訳者は絶対必要だ、と彼女は語る。
このあたりが相当意味深らしい。
「でもそういう風に自社内のふつうの業務をこなしている人を使ってぽんと校閲とか翻訳やらせても、結局本職にどうやっても太刀打ちできるものじゃないんだよね。
「文章力はかないそうな人も中にはいるけれど、リサーチや校閲対象の作家や作品をどれだけ調べられて反映させるか。どれだけミスを発見出来て正しい文章に治す時間を駆使できるか。これはもう物理的に言っても“片手間”では無理な仕事。
「目先の利益、費用対効果を目論んでそういう会社ではそんな方法を採用してしまうんだろうけど、結局本職よりも劣った質の文章にしかならない。そうなると結局売り上げにだって響いて来ちゃうし、結局そういうことをする出版社っていうのは余計損しちゃうんだよね」
ただそこまでになるには、いきなり校閲が未経験の人間などにはぜったいできない。
それこそ朝から晩まで原稿文章とにらめっこし、経験を積み重ね、さらにその上で頭が痛くなるまで修正、確認作業を続けて、やっと一人前の校閲者だという。
なるほど確かに、ここまで単なる文章に対して思い入れが強ければ、ファッションなんか関係なくなるのもうなずける。
「石原さとみさんの衣装がダサいっていうけど、あそこまで“洗練”されているファッションを着込んだ校閲者っていないんじゃないかな、私の知ってる限りではそうだし、他の校閲者もそういうはずだしね」
だそうだ。笑
石原さとみの校正ガールファッションは流行るのか?
一番私が興味あるお題なのだが、ドラマで石原さとみさんが身につけているファーベストやライダース。
そして一番特徴的であっと思ったのがMystrada「マイストラーダ」のスカーフ。
何となく自分的には本職の校閲担当の女性、と思うような出で立ちだったのだが、本当にアレが他の女性達にはどう見えているのだろうか。
中には彼女のことだから、自分たちのような凡人には手の届かなそうなファッションだと思う方もいるようだ。
だが一つ今言えることとして彼女の衣装。
少なくとも知人のオバサンなど、本職の校閲者にとってはあこがれの的、高嶺の花、自分たちが模範にすべきファッションかも?
などと語っている。
本心どうだかわからないが、石原さとみさんはやっぱり流行の先端を作る女性として誰からもうらやましがられる存在に違いない。
(一ノ瀬絵美)