中村紘子さん(71)がついに復活し、ピアノ演奏活動を再開している。
大腸がんという大病に冒されながらも前向きな性格で、ようやく復帰を果たした、という感じだ。
昨年8月から大腸がんの治療のために活動期間休止の延長を発表するなど、容態も心配される中、ようやく4月30日に川崎のホールでオーケストラと共演を行った。
中村紘子さん本人は非常に前向きな性格で、今回の演奏に向けても大変熱心に練習もし、非常にリラックスして演奏できたと語っている。
だが、少なくとも病気自体は完治できているわけではなさそうだ。
演奏後の中村さんの表情は明るく、ブルーのドレスに包まれたその笑顔は満足げだったが、そのやせ方が何となく気になるのは私一人ではないだろう。
彼女の大腸がんはステージ2!抗がん剤も相当つらい
中村紘子さん、画像で見た限りだが病気の前と比べてもかなり痩せているのが見て取れる。
自宅で闘病生活も長かったし、この間地震の中で葛藤も出てきていたに違いないと思うが、中村紘子さんは元々アグレッシブな性格で知られている。
病気治療とピアノへの情熱とがんばりに拍手を惜しまないでおきたいが、予後も十分配慮が必要だということは中村紘子さん本人も身にしみていることだろう。
大腸がんという病気、現在のところ彼女のかかっているステージは2ということだが、その5年生存率は高く85%とも言われていた。
だがあえて彼女が昨年来、ずっと演奏活動を休止していたのはそうした高い生存率と発表されていた情報を何か覆しているかのようにも考えられていたというのが実情だ。
端的に言えば、正直彼女のステージはもっと上ではなかったか?
彼女の性格だから、そんな事実を押し隠してでも演奏に打ち込みたかったのだろう、でも結局体調不良にはかなわずやむを得ない演奏活動休止の延長となったのではないのか?
あくまでも憶測に過ぎなかったが、少なくともそれでも現在あのような彼女のやせ細った姿を見る限り、相当つらい抗がん剤治療が続いていたことは明らかだ。
増え続ける大腸がんの罹患率の陰には食生活が?
女性の大腸がんは乳がんに次いで罹患率が高い。
また男性とともに年々罹患率も微増の傾向が続いているが、少なくとも早期発見して早期治療を受ければ治癒率はぐっと高まるのは他のがんと同じだ。
いつも考えてしまうのだが、こうした消化器系のがんに日本人がかかる背景には、欧米型の肉食を中心とした食生活が大きな原因になっているように思う。
中村紘子さんの食生活がどうなのかは知らないが、性格もああいう積極的な感じだし、海外演奏経験も豊富なことから、肉食に傾いているのは想像できるだろう。
よく言われることとして、日本人の腸の長さ、これは私たちが伝統的に肉食を避けて草食、穀類を中心とした食生活に馴染んできていたことから欧米人のものよりも長いことが知られている。
食物繊維を十分消化吸収するように長年の習慣からそうなっている。
だが肉類を消化するとき、長い腸だと不都合が多いのだ。
肉類を体内に長らくとどめてしまうと、発酵したり腐敗して体に悪影響が出てくることが多く、それゆえ肉食になれている欧米人の腸は短くなっていて、早く体外に消化済みの肉を排出できるようになっている。
その他、私は中村さんがアルコールや喫煙をたしなむかどうかは知らないが、これも女性の体にとっては男性よりも負担が多いはずだ。
中村紘子が病気から復帰を支えたのは音楽への情熱
今回そんな中村紘子さん、川崎市での演奏の後、病気でやつれた姿ではあったものの
“温かく迎えてもらい、演奏を楽しめた”
“ここ(舞台)は私の生きている世界”
と満面笑みで語っている。
音楽にすべてを打ち込もうとする彼女の性格がそのまま伝わっている言葉だ。
聴衆の方々も彼女が自宅で闘病生活をしていて、いわば“命がけ”のような取り組み方で音楽に打ち込んでいることを知っていた。
不死鳥のようにして日本の音楽会に君臨している世界的ピアニストの中村紘子さん、その性格からこれまでに様々なエピソードもあるが、今は病気にたいしては素直に事実をくみ取って治療に専念することだろう。
これまで中村紘子さんはこの病気の治療の結果、抗がん剤の副作用で指が動かなくなったこともあった。
ピアニストにとって指は命と同じくらい大切だ。
おそらく今後も治療の過程でそういう危機に遭遇することもあるかも知れない。
そのときこそ彼女には聴衆と自身とのつながりを信じて、いつまでも笑顔でいていただきたい。
(増淵夕子)
【追記】中村紘子さんは2016年07月26日に永眠されました。
大腸がんを長らく煩っておられましたが、この記事のように病魔と闘いながらも音楽への情熱を絶やさず、最後まですばらしい演奏活動を目指しておられました。
中村紘子さんのご冥福をを、心よりお祈りいたします。